専門用語を使わない個人事業主と法人の違い

事業をするということ

事業とは、お金を儲ける目的で、繰り返し、継続的に行われる行為のことです。他にもたくさん判断基準はありますが、簡単に言えばそんなところです。

飲食店をやろう、とか、商品を仕入れたり製造したりして販売しようとかは一般的には事業にあたります。

では、事業を始めようとしたときに、会社を設立しなければならないのでしょうか?(設立された会社のことを法律用語で法人といいます)

答えは No です。個人のまま事業を行っても、会社を設立して事業を行っても大丈夫です。

では、何が違うのでしょうか?

個人事業主の場合

事業を始めるときには、店の名前を決めて、一定の手続きを行います。(店の名前を「屋号」といいます。なくても大丈夫です)

例えば、Aさんが1人で本屋をする場合を考えてみます。

売上    100万円

仕入      70万円

家賃      10万円

その他経費    5万円

このようなお金の流れの場合は、差引の100-70-10-5=15万円 がAさんの儲けとなります。

Aさんが誰かを雇って給与を払うことは可能ですが、個人事業主に自らの給与という概念はありません。上の例で言えば、その他の経費の中に雇った人の給与があってもかましません。しかし、個人事業主の場合はAさんの給与はなく、差引の15万円がAさんの儲けとなるわけです。

個人事業主の1年の区切りは、誰もが1/1-12/31と決められています。この1年でどれだけ儲けがあったかを翌年の2/15-3/15に国に報告して、税金を払うこととなります。そして、税金が5万円とすると残った10万円が、Aさんの最終的な取り分となります。

法人の場合

事業を始めるときには、会社の名前を決めて、一定の手続きを行います。個人事業主と違い、会社名は必ず決めなくてはなりません。また、手続きは法人の場合の方が複雑でお金もかかります。

個人と同様の例で考えてみます。AさんがB社を設立したとします。

売上    100万円

仕入      70万円

家賃      10万円

その他経費     5万円

Aさん給与  10万円

このようなお金の流れの場合は、差引の100-70-10-5-10=5万円 がB社の儲けとなります。

個人の場合と違うのは、Aさんの給与がある点です。B社からAさんに給与を支払い、残ったお金の5万円がB社の儲けです。個人の場合と同じく、その他の経費の中に雇った人の給与があってもかましません。

法人の1年の区切りは、自由に決めることができます。4/1-3/31と区切る法人は多いですが、法人によって様々です。この1年でどれだけ儲けがあったかを国に報告して税金を払うこととなります。そして、税金が2万円とすると残った3万円が、B社の最終的な取り分となります。

どちらが良いのか

これは非常に難しい判断となります。では、上記の例で、残るお金だけに着目してみましょう。

個人事業主の場合は、Aさんには最終的に10万円が残りました。

一方、法人の場合はB社に3万円残り、Aさんが給与として10万円を得て、合計で13万円残っています。一見、法人のが良いかと思ってしまいますが、Aさんが給与とて得た10万円にも一定の税金がかかります。その税金が3万円ならどちらも変わらないということになります。

税金は儲けがいくらかによって、税率も変わるため、どちらが絶対に得ということはありません。ただ、法人の税率は一律で約3割であるのに対し、個人は儲けが多いほど税率があがるといったように一律ではなく、かつ多い人は5割以上の税率となります。

そのため、儲けが多くなってくると法人の方が有利になることが多いのは事実です。

また、法人の方が社会的に信用される場合も多々あるので、規模が大きい事業体は殆どが法人です。

他にも、判断材料はたくさんあり、どちらが良いか判断するのは非常に複雑です。

まとめ

個人事業主ってあんまりイメージ湧かないと思うのですが、例えば、税理士事務所も町医者も、多くは個人事業主です。

よく、個人事業主の方に、自分の給与はいくらですかと聞かれます。事業やって儲けて給与をもらう、といった当たり前の発想からの質問です。

しかし、個人事業主自身に給与はありません。

また、個人事業主は規模が小さくて、法人は規模が大きいといったこともありませんし(大企業は除きます)、個人事業主は儲けが少なく、法人は儲けが多いといったこともありません。

理解が難しい部分だと思ったので、できる限り分かりやすく書いてみました。

 

 

 

 

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